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退院後の在宅ケアってどうなってるの?現場から見える“地域医療”のリアル~病院では見えない「その後の物語」が、訪問看護にはある~



「入院治療が終わったら、あとは自宅でお願いしますね」

この一言が、いかに重いか。

そして、どれほど“その後”が複雑か。


病院の医師や看護師が退院をゴールにするなら、

僕たち訪問看護師は、そこをスタートラインとして動き始めます。


退院後に何が待っているのか?

在宅医療はどうチームで動いているのか?

今日は“退院後の現場”のリアルをお話しします。



■ 退院=「元気になった」ではない現実


たとえば、入院中に安定していた糖尿病の高齢者。

退院して在宅生活に戻った途端、低血糖を繰り返すことがあります。


なぜか?

答えは、生活環境と家族のサポート力、そして本人の理解度にあります。

• 食事は配食?家族が作る?本人が選んでいる?

• 内服は確実?飲み忘れはない?

• 血糖値を測る機器は正しく使えている?


病棟では見えなかった“暮らし”の中で、さまざまな落とし穴が見つかる。

訪問看護師は、それを一つひとつ拾い上げる役割を担っています。



■ 退院カンファレンスの“空気差”


退院前に行われる“退院調整カンファレンス”。

医師・病棟看護師・MSW・家族・訪問看護師などが参加します。


…が、正直に言うと、

温度差があること、あります。


病院側:「状態安定しましたので、在宅移行で」

訪看側:「ご本人、意思確認は十分ですか?奥さん、今後の介護に不安を漏らしてました」

家族側:「正直、夜間対応が怖いです…」


それぞれの立場が違えば、見えている風景も違う。

大事なのは、「それぞれの温度差を埋める具体的な提案を言える対話力」。

訪問看護師には、そこをつなぐクッションの役割が求められます。



■ 医療と介護がつながらない!?現場の混乱


在宅では、医師、看護師、ケアマネ、訪問入浴、配食業者、ヘルパー…

とにかくプレイヤーが多い。


それなのに、「情報共有がされてない」ということもザラにあります。


・点滴が導入されたのに、ケアマネが知らなかった

・訪問入浴の予定とバッティングして、医師の往診がキャンセル

・入退院があったのに、事業所間で連絡なし


これ、現場では本当によくあります。


アカラケアでは、こうした“情報の断裂”を防ぐために、

チャットツール、電子カルテ、電話連絡などを組み合わせて多層的に連絡体制を整備しています。

それでも完璧ではないけれど、

「誰が」「何を」知っているか、を常に意識しています。

この情報共有はツールが多数ある分、業務負荷は大きいですが、重要な役割だと思っています。


■ 地域医療連携=“関係性の貯金”


よく「地域連携」と言われますが、これは単なる“報告書のやり取り”ではありません。

もっと根っこにあるのは、“顔の見える関係性”。


たとえば…


・退院支援看護師に「今度の〇〇さん、大丈夫かな?」と電話で軽く確認する

・外来看護師と「前回と同じパターンでしたね」と笑って情報を交換する

・ケアマネと「ちょっと厳しそうなので、一緒に家族面談に入りましょう」と動く


こういう小さな連携の積み重ねが、結果的に大きな安心感を生むのではないかと思います。


信頼って、“関係性の貯金”みたいなもので、

いざというときの迅速な対応や、柔軟な判断につながっていきます。



■ 在宅医療は、「選択肢」を提示する仕事


病院では「治療」が中心ですが、

在宅では「選択肢」を提供することが、僕たちの役割になります。

•本人の希望は?

•家族は何を望んでる?

•医療的には何ができて、何がリスク?

•最期はどこで迎えたい?


これらを一緒に考えて、“その人らしい暮らし”を設計していく。


つまり、ケアプランナーであり、伴走者であり、通訳者でもある。


退院後の生活って、選択の連続です。

訪問看護師は本人をエンパワメントしつつ、選択のナビゲーターの役割も担っています。



■ まとめ:「退院後」こそ、看護の力が問われる


病院から退院したあとの数週間。

この期間が、人生のターニングポイントになること、本当に多いんです。


「ここでうまく支援できるか」が、

その人が“生きる場所”を決める。

“生き方そのもの”を変える。


退院後の在宅ケアは、決して“医療のオマケ”じゃありません。

むしろ、ここからが“看護の本領”だと思います。

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