熱量バラバラなチームをどう束ねる?訪問看護管理者のリアルな組織論~“みんな違って、みんな熱い”チームづくりの話~
- 管理者

- 8月2日
- 読了時間: 3分
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「みんないい人ですよね!うちとは全然違って…」 こんな風に言われることがあります。いやいや、ちょっと待ってください。 うちだって、毎日バラバラです。熱量、温度差、価値観。ぜんぶ違います。 でもね、それでいいんです。 「同じ温度」じゃなくて、「同じ方向」を見ているかどうか。 それがチームづくりの本質だと僕は思っています。
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“熱い人”ばかりじゃ、火傷する たとえば、こんな職員がいます。
・とにかく熱い。「この利用者さんの人生全部に関わりたい!」という看護師
・堅実で冷静。「ルート確保と記録は正確に。感情よりデータ重視」の看護師
・人見知りだけど、気遣いの鬼。「無言でも安心感を与える」タイプの看護師
これ、全部うちにいます。みんな違う。でも、みんな良い。 熱量が高い人ばかりだと、逆にチームは不安定になります。 「なぜ私みたいに動かないの?」と押しつけてしまうからです。 逆に、冷静な人だけだと、感情を受け止めきれない現場でつまずきやすい。 大事なのは、「違いがある」ことを前提に、それを認め合える風土を作ること。
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チームをまとめる“会議”より、“対話” が大事です。
「管理者って、何をやってるんですか?」と聞かれることがあります。 答えはシンプル。 「ひたすら、対話してます」 指示じゃなく、説教でもなく、ただ話す。 お茶を飲みながら、歩きながら、玄関先でポツリと。
「最近、なんかしんどそうに見えるけど、大丈夫?」
「利用者さんの件で迷ってることある?」
「この前の対応、すごく良かったよ」 1対1で、心の声を拾う。
それが、管理者としての僕の大事な仕事のひとつです。
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「なぜそれをしたのか?」が、組織を育てる ある看護師が、利用者の薬を訪問時に飲ませなかった。 報告書には「本人の意思を尊重したため」とある。
その判断、正しかったのか? 僕は問いません。
まず聞くのは、「なぜその判断をしたのか」。
行動よりも、判断の理由にフォーカスする。
それによって、職員自身が“考えたプロセス”を振り返る機会になる。 この積み重ねが、「自律的に判断できるチーム」を育てていくのだと思います。
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“叱る”より、“応援する”
若手職員が訪問先で泣いてしまったことがありました。
家族の言葉に傷ついて、とても気分が落ち込んでいるようでした。
そのとき、僕は言いました。
「正しいことを伝えているのに、うまく伝わらなくて辛いよね。でも、それを自分の経験にできるなら、次のアプローチは改善されてもっといい関わりができるよ」
叱るより、「見てるよ、大丈夫だよ」という応援の言葉が、スタッフを強くすると思います。
僕らの仕事って、毎日正解が変わる世界。
だったら、「間違ってもリカバリーできる」職場の方が、絶対に強い。
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共通言語をつくる。「理念」はスローガンじゃない
アカラケアの理念は、「いつもの日常を、いつもいつまでも」。
これ、ただのポスターの文言じゃありません。
「これは、うちの理念に合ってると思う」
「そのケアは“いつもの日常”から逸れてないかな?」
こんなふうに、スタッフ同士の会話に“理念”が出てくる職場を目指しています。
共通言語があると、違うタイプの職員でもすれ違いにくくなる。
理念は、方向性を示す地図のようなもの。
みんながバラバラでも、「この道でいいよね」と言える力になります。
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まとめ:管理者の役割は、整えることじゃない
管理者って、つい“問題を整える”役だと思われがちです。
でも、僕は違うと思う。 バラバラな熱量の中で、「一緒に悩む」「一緒に考える」人であること。
それが、訪問看護の現場で求められる管理者の姿だと信じています。
完璧なチームなんて、ありません。
でも、“お互いを信じられるチーム”は、作れます。
今日も誰かが、バタバタしながら汗をかきながら、でも笑って訪問に出かけていく。
その姿を見て、「いいチームだな」って、思っています。
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