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病院では味わえなかった。「一人の人生に深く関われる」訪問看護という仕事




看護師として働いてきて、「自分はちゃんと看護ができているのだろうか」



そんな疑問を、一度も持たなかった人は少ないと思います。

病院では、目の前の患者さんを必死に看ている。検査値も、治療も、ケアも、全部やっている。それでもどこかで、「この人の人生の一部しか見えていない」という感覚が拭えなかった。


訪問看護に出て、最初に衝撃を受けたのはそこでした。


玄関を開けた瞬間に見える生活。

壁に飾られた写真。

使い込まれた湯呑み。

家族との距離感。


その人が、どんな時間を生きてきたのかが、言葉より先に伝わってくる。


訪問看護は、病気だけを診る仕事ではありません。

「その人の人生に、看護として関わる仕事」だと思います。


ある利用者さんが、何気なく言いました。「先生たちはね、私の“家に来てくれる”から安心なの」

この一言は、今でも忘れられません。治療をしているからではない。医療行為をしているからでもない。“生活の場に来てくれる存在”であること自体が、看護になっていると気づかされた瞬間でした。

訪問看護は、効率は決して良くありません。

一人ひとりに時間がかかる。判断も多い。責任も重い。

それでも、「あなたが来てくれてよかった」この言葉を、真正面から受け取れる仕事です。



病院では役割の一部だった自分が、訪問看護では“その人の看護師”になる。

だからこそ、楽しい。だからこそ、しんどい。でも、だからこそ、やめられない。


訪問看護の楽しさは、派手さではありません。静かで、深くて、確かな手応えです。

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